「気にしないで甘えとけ」

「でも、清美さんにはこのドレス選びもヘアメイクさんの手配もしてもらってるのにお迎えまでなんて一般人の私には申し訳ないって思っちゃう」

「果菜、お前さ。この間俺の北海道ツアーの時また社長んちで女子会したんだろ。どんだけワイン飲んだんだ?その値段聞いたらきっとどれだけ自分が社長から可愛がられてるか理解できると思うけど」

果菜の顔色が変わる。
「や、やっぱりあれすごくお高いやつだったんだね。ど、どうしよう。がぶ飲みしちゃった」

「いいよ。どうせ社長が飲め、飲めって旨いつまみと一緒に勧めたんだろ」

こくこくと果菜が頷いた。

「俺の留守を狙って女子会だってよく連れ出されてるんだろ。そんだけお前は気に入られてるんだ。上手に甘えとけ」

いいのかなぁと小難しい顔をする果菜を見て笑っていると社長が迎えに来たことを知らせるインターホンが鳴った。