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「あ、先生。目が覚めたみたいですよ」

高すぎず低すぎない微妙なラインの透き通るような女性の声が耳に入った。
ぼんやりと目を開けた俺の視界には見たことがない薄いグリーンのカーテンと白い天井。それと大きな瞳の白衣の女性。

ここはどこだ。

「大丈夫ですか?痛いところ、辛いところはないですか?」
大きな瞳の女性が心配そうに問いかけてくる。
ぐっすりと眠ったせいか頭が少し軽くなっている。

「頭痛が少し。えーっと、ここはどこですか?」

「覚えてないですか?」
困ったように首を傾げ、口角をキュッと引き締めた女性。

ゆっくりと頷くと
「この先のドラッグストアの前で座り込んで眠っているあなたをたまたま先生に頼まれてお使いに出た私が見つけて。勤務先であるこの内科クリニックに運び込んだというわけです。私は肩を貸しただけで、あなたはご自分で歩いてましたけど、それも覚えてないんですね?」

そう言えば夢の中で女性と話をして、それから女性に連れられてどこかへ行ったような気がする。