35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~

結婚式はニュージーランドで身内だけで挙げることにした。
その代わり、披露パーティーを今度オープンするリゾートホテルを使って全館貸し切りで業界関係者や友人知人を招いて行なうことも決まった。
もちろん、招待客は業界でもごく親しい人間のみ。どこぞのパーティーに出入りする親しくもないような輩は絶対に招かない。貸し切りだから時間にも追われることはない。
そんな事ができるのもそこが俺の旧友である藤本が総支配人で経営者が藤本の父親ということで何かと融通が利くから。開業直前に二日間開けてもらうことになったのだ。

あっちも宣伝になるし、こっちは一般客を気にすることがない。ウィンウィンというわけ。

ーー果菜のウエディングドレスか。
思わず口角が上がる。

「うわあ、今度はタカトさん、にやにやしてます」
「うるせー、青山」

「天下のクールギタリストのタカトに百面相させることができるのは果菜ちゃんだけだな」
「そんな顔テレビで見せんなよ」
「わかってる」ヒロトとユウキに言われて顔を引き締めた。

そんな事は重々承知してる。仕事とプライベートは別物だ。


しかし、手元のスマホが震えてメールを読んだ俺の顔は思い切りくしゃっと緩んだ。

『ありがとう、嬉しい。本当は貴くんと一緒に行きたかったの。じゃあ貴くんが一緒に行ける日にちをまた教えてね。大好き』

お前には敵わない。




Special episode ~ END