でもね、そうなんだよ、青山君。
君は23才という実年齢よりはるかに若く見えてしまうんだよ。
キミ見た目高校生でしょ。
君を真ん中に挟み左右で27才の私と朋花さんがキミと腕を組んだなら、おねーさんが若い男の子をおもちゃにしてるようにしか見えないってこと。
だから、エスコートはいりません。

「こいつこう見えて空手の有段者なんでボディーガードはクビにしないでやって下さいね」
青山君より10センチ以上身長が高い真島さんが青山君の頭をポンポンとする。

子ども扱いされて嫌がる青山君に
「ごめんなさい、エスコートは遠慮させてもらうけどーーー映画祭が終わって真紀さんと合流するまでの間のボディーガードはお願いします。頼りにしてます」
ときっちり頭を下げた。可愛い顔して空手の有段者なんだ。人は見かけによらないね。

こんなことになってしまって、私たちは先に帰った方がいいと思うのだけど、警備の都合上事務所側は私たちをまとめて管理したいらしい。

「せっかくここまで来たんですから楽しんでいってください。ただ不自然に近付いてくるような人間には気を付けて下さいよ」
真島さんは青山君に小声で何かを伝え私に会釈すると、朋花さんの髪に軽く触れて去っていった。