『月明かりの翼』は果菜と自分を投影して作った曲ではあるけど、巷では結婚式でよく使われるようでプロポーズやウェディングソングとしての評判も上々だ。

演奏後はいつもならユウキのトークで終了なのだが、今日は俺もマイクを握る。

さあ、仕上げだ。

「えー、西さん秋野さんのおめでたい席に俺たちが花を添えすことができてうれしく思ってます。
西さん秋野さんの旅立ちのお祝いに便乗させていただいて、俺も結婚が決まったことを報告させてもらいます。
相手は一般女性ですので何卒、そっとしていただければと思いますが、ずっと隠しておくと陰で何を言われるかわかりませんので今日はこの場にも連れてきています。
彼女は俺が選んだたった一人の女性で、俺が唯一全てをかけて守りたい、そして彼女に包まれたいと切望してしまう俺にとって唯一無二の存在です。
そんな彼女を傷つけるようなことがあれば全力で潰しにいきますので、そんな事がないようにそちらもよろしく。
西さん、秋野さん、今後とも公私ともにお付き合いのほど、よろしくお願いします。
本日はおめでとうございます。どうぞ、お幸せに」

マイクをユウキに返して会場内を見渡した。

大きな拍手に包まれているが、芸能関係者の中には呆然と言った感じで俺を眺めているものが結構いた。