俺は果菜のいる方に向かって歩き出した。
背後では女たちが騒ぎ始めるがそれには反応しない。
「ねぇタカト、演奏するの?」
「もしかしてタカトも歌ったりする?」
「タカト、頑張って」
うるさいんだよ、と全て無視して果菜に声が届く位置まで歩み寄り
「果菜、行ってくる。ステージ見てろよ」と笑顔で声をかけた。
もちろん、果菜の周りにいた女たちには見向きもせず、果菜しか目に入れない。
ひと声かけただけでステージに向かって歩きだすと、
「あっ!」と愛しい人の慌てた声がカツカツっとしたヒールの音と一緒に聞こえてくる。
「貴!待って。大事なもの忘れてる!」
「タカ?」「たか!」「貴ですって?」
背後で聞こえる果菜の美しい澄んだ声とうるさい女たちの雑音にニヤリと笑みがこぼれてしまう。
くるりと振り返り「ああ、果菜、ありがとう。大事なものを忘れるところだった」
スタスタと果菜のもとに戻ると小さな紙袋を受け取って袋を開ける。
「必要なものだって言ってたのにホントに忘れちゃってそのまま行っちゃうかと思って焦っちゃった。で、中身は何なの?」
小首をかしげる仕草も演技でも何でもない自然な可愛さ。
「果菜、ちょっと軽く顎あげて」
ん?って顔をしながら俺の指示におとなしく従う果菜の耳に手をかけて、持っていた袋から取り出したイヤリングをつける。
「え?何してるの?」
「魔除け」
「魔除けって?」
「魔除けは魔除け。いいから黙ってつけとけ」
背後では女たちが騒ぎ始めるがそれには反応しない。
「ねぇタカト、演奏するの?」
「もしかしてタカトも歌ったりする?」
「タカト、頑張って」
うるさいんだよ、と全て無視して果菜に声が届く位置まで歩み寄り
「果菜、行ってくる。ステージ見てろよ」と笑顔で声をかけた。
もちろん、果菜の周りにいた女たちには見向きもせず、果菜しか目に入れない。
ひと声かけただけでステージに向かって歩きだすと、
「あっ!」と愛しい人の慌てた声がカツカツっとしたヒールの音と一緒に聞こえてくる。
「貴!待って。大事なもの忘れてる!」
「タカ?」「たか!」「貴ですって?」
背後で聞こえる果菜の美しい澄んだ声とうるさい女たちの雑音にニヤリと笑みがこぼれてしまう。
くるりと振り返り「ああ、果菜、ありがとう。大事なものを忘れるところだった」
スタスタと果菜のもとに戻ると小さな紙袋を受け取って袋を開ける。
「必要なものだって言ってたのにホントに忘れちゃってそのまま行っちゃうかと思って焦っちゃった。で、中身は何なの?」
小首をかしげる仕草も演技でも何でもない自然な可愛さ。
「果菜、ちょっと軽く顎あげて」
ん?って顔をしながら俺の指示におとなしく従う果菜の耳に手をかけて、持っていた袋から取り出したイヤリングをつける。
「え?何してるの?」
「魔除け」
「魔除けって?」
「魔除けは魔除け。いいから黙ってつけとけ」



