35階から落ちてきた恋 after story ～you are mine～

そのまま玄関に向かって走り出した私はサンダルを引っかけるように履いて玄関の鍵に手を伸ばした。
「待て、逃げるな」

「あっ」
あと少し、ドアノブに指がかかった所で残念ながら貴斗の長い腕に捕まってしまった。
貴斗の腕が私のウエストに回る。

「危ねぇ。逃げられるとこだった」
はぁーっと息を吐くといつかの時と同じでひょいと私を肩に担ぎ上げると、スタスタと廊下をリビングに向かって歩き出す。

「やだっ、何するの、下ろして。もう構わないで！貴なんて大っ嫌い」
貴くんは歩みを止めることなくリビングに入って行く。

大声を上げる私を無視してリビングのソファーのぽすんと下ろし、そして自分は私の前にひざまずくようにして抱きしめたのだ。
まだ暴れてもがく私の背中をなだめるようにゆっくりとさすり始めた。

「どこにも行かせない。果菜は俺の大事な女だから。笑ってごめんな。嬉しくて顔が緩んだんだ。許せ」

何言ってるの。嬉しかった？私が怒ったり悲しんだりしてるのが嬉しかったってこと？信じられない、なんてひどいオトコなんだろう。
「嫌いよ」怒りながら貴斗の身体を押しのけようと暴れる。

「やきもちを焼いてくれたんだろ？」

は？

「全部話すからしっかり聞けよ」動きを止めた私の頬を両手で挟んで半笑いで少しだけ困ったような顔をした。

何なの、その上から目線の言い方は。怒りが収まらない私は貴斗を睨みつける。

「ダメだ、泣いてる顔も怒ってる顔も睨んでる顔も可愛いと思うなんて重症だ」そう言ってぎゅっと抱きしめる。