35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~

「それじゃあ、私が出て行かないんだとしたらまたいそいそと出かけて朝帰りするつもりだったってこと?お酒臭くして、甘ったるい香水の香りとかボディソープの香りとかさせて帰ってくるつもりだった?私を一人ぼっちにして」

「そうじゃないよ」

抱きしめられても身体を固くして拒絶を示している私の態度で貴くんに私の怒りや悲しみが伝わるだろうか。
貴くんのことは何も教えてもらえないのに私のことは閉じ込めようとしている。

もう嫌だ。
心が限界だ。「誤解させたのは悪かった、でも、黙ってどこかに一人で行こうとするな。俺がどんなに心配したか」

耳元で甘い声で囁く。でも、こんなのに懐柔されてやるもんか。

「なんでシャツだけじゃなくて素肌にも口紅が付いていたのか、ボディソープの香りをぷんぷんさせて帰ってきたのかの説明してもらってない」
私は自分の胸の前で交差するように抱きしめている彼の腕を引きはがしにかかった。

貴くんは私を抱く力を強めてくるから抜け出せない。
「離して」
「ダメだ」