「すでにタカトは青山から報告を受けて果菜さんが無事で、いつも通り仕事に出ていることは知っていますけど、果菜さんからもタカトに連絡してもらえますか?あいつずいぶん心配していたし。今は雑誌の取材を受けていますが、あと30分ほどで終わりますから」

「貴斗にはこれからメールを送るつもりでいます。取材が終わった合間にでもそれを確認してもらえればいいです」

私の頑なな態度に木田川さんのため息が聞こえた。
「遅くなりますが、今夜のうちに東京に帰りますので、果菜さんも今夜はマンションにお帰り下さいね?」

「今夜は東京に戻ってくるんですか?でも、彼がマンションに帰っってくるかどうかは別の話ですよね」

「え、え?帰りますけど、え?果菜さん。それってどういう意味ですか?確かに昨夜は突然決まった北陸移動で泊まりでしたけど、その前は泊まりの仕事はなかったはず。
まさか最近マンションに戻って来ないって話なんですか・・・って、ああ、果菜さん電話切らないでくだっ・・・」
木田川さんの話している途中に「じゃあ失礼します」と言葉を挟んでブツっと通話終了。
これ以上の会話はしたくない。