おーいるいる。
俺はほくそ笑む。
俺たちを遠巻きに見てるのはモデルやアイドルの女たち。
こんなパーティーがある度に俺に近付いて来てしなだれかかり、中にはあからさまに誘ってきた女もいる。
神に誓って言えるが、そんな女を相手したことは一度もない。
そろそろ始めるか。
女たちに見せびらかすように果菜の腰に回した手に力を入れて更に密着する。
んんっ?と果菜の口から変な声が漏れる。
「えーっと、近付きすぎじゃないですかね?」
「そうか?いつもこんなもんだろ?」
「いえ、違うと思うんですけど?」
周りに聞こえないように顔を寄せ合って小声で会話する。
果菜が戸惑うのは当然だ。
今の俺たちはエスコートというよりもほぼバックハグに近い体勢で恥ずかしがり屋の果菜には厳しい状況。
見てる、見てる。
ギラギラしたオンナたちが果菜を睨んでる。
果菜と話しながらヒロトの嫁さんを目で探した。
俺の視線に気が付いたヒロトの嫁さんが軽く笑顔でこちらに向かって歩いて来る。
それを見て社長に目配せをすると
「私、ちょっとあちらにいるスポンサーさんに挨拶してくるわね」
と社長が俺たちに背を向けてスーツの集団の方に歩いて行った。
代わりにヒロトの嫁さんがやってくる。
「果菜ちゃん、久しぶり」
「あ、琴美さん」
何も知らない果菜はほっとしたように笑顔を見せた。



