「えっと、じゃあ、もしかして青山くん体調不良でここにいるんじゃないってこと?」
「もちろん、違いますよ。果菜さんが出勤しているかどうか朝一番で直接ここに確認に来たんです。診察はダミーですから」

「うわ、ごめんなさい!でも確認ならここに電話をくれればよかったのに」

「そんなわけにはいきませんよ。ここのスタッフさんだって果菜さんが出勤してるかどうかなんて電話で気軽に教えるはずないでしょう。記者かもしれないし、姫やタカトのストーカーかもしれないのに」

「あ、そ、そうか…。ごめんなさい」

私は小さくなった。私が意地を張って貴くんに連絡をしなかったばかりにまさか事務所の人を巻き込んで大騒ぎになっていたとは。
どんなに大ごとになったんだろう。背中に冷たいものが流れイヤな汗がにじんでくる。