「果菜さん、携帯は?スマホ見てないんですか?!」

「ちょ、ちょっと落ち着いて。ここ病院だから大声出さないで」
私は興奮する青山くんを宥めようとするけれど、
「早いとこタカトさんに連絡してください!大変なんですから。昨日からどこ行ってたんですか!マンションにも戻って来ないし」
と一方的に捲し立てられる。

エキサイトする一方の青山くんの腕をつかんで廊下の角に押し込むように連れて行った。「ごめんね、どういうこと?」

「昨日の夜、タカトさんが果菜さんと連絡取れないって気にしていた所に灯海堂の須川さんから連絡があって、果菜さんとBarで出会った時に果菜さんが今夜は帰らないって言ってたとか何とかって、タカトさんが騒ぎだして」

ん?私今夜は帰らないなんて言ったかな?
「は?それだけのことで?」

「何言ってんですか。タカトさんにとってはそれだけじゃないってことだと思いますよ。タカトさん、昨日の夜は北陸にいて帰れないのに今から帰るって言い出して。仕方ないから代わりにこっちで俺が果菜さん探すことになって、もうあっちもこっちも大騒ぎだったんですけど!」

あっちもこっちも大騒ぎ?
ザーッと全身の血の気が引く。