35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~


「真紀、そのくらいにしときなさい」
社長の呆れ声がして
「婚約パーティーで殺人なんてサスペンスドラマの中だけにしてくれよ」
西隼人も笑っている。

どうやら果菜は秋野真紀にも気に入られてしまったらしい。
面倒くさいことにならなきゃいいんだが。俺は心の中でため息をついた。

西も果菜が気に入ったようで「今度4人で食事をしよう」と誘いをかけられた。
具体的に店の名前まで挙げていたからどうやら社交辞令ではないらしい。

今日の主役の秋野が騒いだせいで俺たちも注目を浴びてしまった。主役たちは他の人たちに挨拶するために離れて行ったが、反対に俺たちに集まり始める視線が集まりはじめる。

本来なら果菜を目立たないように隠すのだが、今日はこれからが本番。
果菜には秘密にしてあるミッションがあるのだ。

「果菜、悪いけどこれ、預かっててくれないか?」
それは小さなブルーの紙袋。
片手にすっぽりと収まる大きさのもの。

「これって何ですか?」

「ああ、後でステージに上がるときに使う大切なものなんだ。なくすと困るからちょっと持ってて。」

果菜は不思議そうな顔をしたけど「わかりました」と素直に紙袋を受け取った。