35階から落ちてきた恋 after story ～you are mine～

言いよどんでいると、
「もしかしてアイツとケンカでもした？実は昼過ぎにも果菜さんのこと見かけたんだよね」
須川さんが顔をのぞき込んでくる。

「いいえ、私たち、ケンカできるほど一緒にいる時間なんてないんですよ」
にこりと笑ったつもりだけど、笑顔になどなれるはずもなく。

「じゃあこれで」私は失礼しますと今度こそしっかりと頭を下げてバーを出ようと歩き出した。

「あ、ねぇ、果菜さん、待って。タカトは？タカトはそれ知ってるんだよね？あいつ今どこにいる？」

「どこに？・・・どこでしょう。ごめんなさい。私は何も聞いていないので答えたくてもお答えすることができないんです。必要であれば須川さんから彼の携帯に連絡して聞いてください。お願いします」

「ええ？それって？」

「じゃあ、おやすみなさい」

私は曖昧に笑ってお辞儀をするとバーテンダーにお札を渡しおつりはいらないことを告げて急いで店を出た。

須川さんはまだ何か言いたそうだったけど、これ以上他人に私のプライベートを明かす必要もないだろう。
LARGOのメンバーと須川さんはずいぶんと長い付き合いでプライベートでも親しいと聞いているから用事があれば自分で連絡を取ればいいのだ。