エミリーは太陽が一番上に上った頃に目が覚めた。下からは美味しそうな臭いがする

エミリーは背伸びをしてカーテンをあけ、窓を開ける。胸一杯に空気をすって体の調子を確かめる

エミリー「うん。何ともないみたい。」

エミリーがひと安心すると、ポケットサファイアが目の前に出てきた

サファイア「おはようエミリー。調子はどう?」

エミリーは幻でなかったサファイアの存在に一瞬驚いたが昨日のことをちゃんと覚えていたこともあり、これは現実なだと痛感した。

エミリー「おはよ。サファイア。貴方の子守唄のお陰でゆっくり眠れたから、この通り元気だよ!」

そういうと、サファイアはどれどれといいながら私のオデコをさわったり、喉を見たりしている。

サファイア「うん。確かによくなってるね。よかった。それじゃー父親と仲直りできそう?」

サファイアの言葉に一瞬顔が曇った約束はしたもののどのように仲直りをすればいいかわからなかった。
実際サファイアが幻想であると思っていたときは正直父親を滅茶苦茶に叱ってやりたいと思っていた。
そんな私が父とどうやって仲直りをすればいいのだろうか

私がそんなことを悩んでいると

サファイア「もしかして、仲直りのしかたに困ってる?」

サファイアの的中率に驚きながらもエミリーは苦笑いしながら答えた

エミリー「うん。今まで喧嘩をしたことがなかったから。」

そうエミリーはずっと父に叱られないように気を配ってきた。だがお見合いをさせられそうになった時どうしても歯止めが聞かなかった気がついたら逃げ出していた
父はどんなに恥ずかしかったか今となっては少し気が引ける。

サファイア「そんな悩みがずっとストレスになって熱が出たのかも。一度お父さんとじっくり話す必要があるんじゃないかな。」

サファイアに言われてうなずきはしたものの、エミリーは不安しかなかった。

ミュニエル「エミリー?起きたの?」

サファイアはお母さんの声を聞くと

サファイア「約束だよ。」とささやいて、ポンット消えた。

それと同時にミュニエルは現れた

ミュニエル「おはよ。エミリー。昨日は眠れたようね。うなされ声がしなかったわ。」

エミリー「うん。ありがとう。私そんなにうなされてたの?」

ミュニエル「えぇ。こないでーこないでーって何かに追われてるみないだったわ」

エミリーは夢のことを思いだしぞっとする。

エミリー「うん。ちょっと怖い夢みてたから。たぶんそれが原因かな」

ミュニエル「そう。お父さんがそれほどまでにあなたを追い込んでいたのね。でもねあれからお父さん反省仕切りで、、、ずっと落ち込んでいるわ。」

エミリーはお父さんが落ち込んでる姿を想像し、少し胸がいたんだ。

エミリー「お母さん。私お父さんと仲直りがしたいの。」

突発な言葉に母は一瞬驚いたが、すぐにこっと笑った

ミュニエル「そう。偉いわ。お父さんきっと喜ぶわ」

エミリー「でもどういったらいいかわからないの。私はまだお見合いをしたくはないからするとはいえないし、男装だってたまにはしたい…それを拒否されたら私はまた家を飛び出すかも。」

エミリーは胸のしこりの原因を包み隠さず話した
母は黙ってそばにあった椅子にすわり私の両手をとる

ミュニエル「優しい手ね。どんな傷でも癒してくれそう。」

ミュニエルはそう言いながらエミリーの手を握る

エミリー「…そうかな。」

ミュニエル「エミリー。正直私も男装には反対だわ。ばれてしまったとき傷つくのはあなただし、私はそんな貴方はみたくない。」

母は優しい眼差しをエミリーに向けながらいう

エミリー「でも…」

ミュニエル「すぐにやめろなんて言わないわ。でもね。いつまでもそうやって現実から逃げていてもなにも始まらないの。少しずつでいい。気持ちに余裕ができたら女の子に戻りなさい。お見合いはそれからが一番貴方に向いてると私は思うわ。」

エミリー「…」
エミリー心の声《私は母の言葉は嬉しかった。でももし戻れなかったら母は許してくれるだろうか…》

エミリーはそう思いながらやっとの思いで

エミリー「努力はするけど無理かもしれない」

と言った

ミュニエルは怒らなかったそれどころか強くエミリーを抱き締めた

ミュニエル「頑張って。貴方ならきっと大丈夫。お父さんには少しずつ頑張ってみるとだけ言えばいいわ。」

エミリーは抱き締め返しながら

エミリー「うん」といった

ちょっと抱き合ったのち、ミュニエルは熱がないことを確認し、ご飯を食べるよう言ってから下に下がっていった

いよいよ。父と仲直りするときだ。