起きると夜になっていた。

サファイア「今回は日を跨ぐ前に起きれたね。」

サファイアが心配そうにしている

エミリー「サファイア…私もうどうしたらいいかわかんないよ」
エミリーは起き上がりながらいう

サファイア「う~ん。確かに困るよね。だったらさ、さっきも言ったけど魔法で何とかしようか?」

エミリーは今度はサファイアの言葉に食いついた

エミリー「そんなこと出来るの?」

サファイア「うん。出来るよ。そうだなぁ。王子様に出会った日に戻すのが一番じゃないかな?」

エミリー「戻す?あの日に?」

それはつまりあの日からあったことを全部リセット出来るわけであって…。でもそれをするとせっかく父に男装を許されたのに無駄になってしまう。それに…

エミリーはそこまで考えると国王陛下の顔と頼みごとが頭をよぎった

エミリー「ねぇ。もしあの日に戻したらあの日からあったことを全部リセット出来るんだよね。」

サファイア「うん。」

エミリー「じゃあさ今日私が陛下に頼まれたことはどうなるの?代わりに誰かがやったりするの?」

エミリーは他はなしにしたかったが陛下との約束だけが気がかりだった。

サファイア「それは…全部なかったことになるからあの話はなかったことになるし、誰か他のひとがやる可能性は、あのご病気だし…それに陛下も探す余裕がないと仰っていたよね。だから多分誰も代わりをすることなく…」

エミリー「そんなの駄目だよ!」

サファイア「エミリー…」

エミリー「だって、可愛そうじゃない。確かにこのまま陛下がなくなればメイソンが継承者になってそれはそれでいいかもしれない。でも、もしメイソンがダメな王になったら?この国はすぐ駄目になる。そんなことになったら陛下かわいそすぎるよ。あんなに国の事を思っているのに。」

エミリー心の声《そうだよ。国の事を思っていなきゃ私なんかに大事な役目を与えたりしない。ちゃんと見極めないから託してくれたんだ。この国を安全で安心で豊かで平和な国のままにしたいからこそ。賭けをしてでも頼んだんだ。それなのに…》

エミリー「それをなかったことにしたら、魔法で駄目にしちゃうかもしれないなんてそんなの…」

サファイア「…だったら住みこみで働くの?嫌なんでしょ?住みこみ」

エミリー「嫌だよ!でも陛下とかじゃない。今にも倒れそうな人の頼みだもん。私にしかできないみたいに言われたらやるしかないじゃん!」

エミリーはもうやけだった。自分がついた嘘のせいで、自分が苦しんでいる。自業自得。そんなの分かっていた。けれどエミリーはまた我慢しなければ、自分さえ我慢すればいいと思っていた。小さい頃からずっと

サファイア「…嫌だけどやるしかない。だから我慢する。自分さえ我慢すればいいそういいたいんだね。」

エミリーは小さくうなずいた

サファイア「…そんなに辛い思いのまま頼んだことをされて果たしたとして、陛下は喜ぶかな」

エミリー「え…」

サファイア「エミリーは嫌がっている人を無理にお見舞いさせるお父さんがいやだったよね。」

エミリー「なにを…」

今さらといおうてしたが、サファイアがそれより先に話始める

サファイア「それと同じ。今エミリーはお父さんなんだよ。」

エミリーの頭は?でいっぱいだ

サファイア「嫌なことを無理にさせていたせいであなたが倒れたとお父さんは反省してる。それなのに貴女はまた嫌なことを無理にするの?」

エミリー「サフ…」

サファイア「どうして、嫌だと言わずに、自分が我慢すればいいっておもうの!?」

エミリー「!!」

サファイアは涙を流しながらいう

サファイア「お父さんがお見舞いさせた時だってそう。一度でも嫌って、、、お父さんに言ったの?」

エミリーはハッとなった。今まで自分は嫌だと思っても口に出したことなどなかった。貴族がゆえに我慢しなければならないことは山ほどあったがどれも嫌だと言わなかった。それが正しいと思っていた。

サファイア「言っていれば止めてくれたんじゃないの?今回だって止めてくれるかもとか考えないの?エミリーは優しいから人のことしか考えなさすぎるから、頼まれたら断れないんだよね?でもできないことはできないって言わなきゃわからないよ?貴女はわかるの?」

エミリー「それは…」

サファイア「明日住み込みも従侍として働くねにも嫌ですって言お?」

エミリー「でも打ち首になったりしたら…」

サファイア「そしたら私のせいだから、私が全力で一族を守る!でも陛下はそんな無理じえをするようなひとには見えなかった」

エミリー「ならなんで言ってみたとき、すぐ断ったの?」

サファイア「多分試してるんじゃないかな。」

エミリー「試す?」

サファイア「うん。嫌なことをを無理してでも受けいれるかどうかをね。なんでかまではわからないけど、」

エミリー「…。嫌なことか…私縛られてばっかで、いつしかそんな気持ち捨てなきゃって思っていたのかも…」

サファイア「ごめんね。きつくいって、でもエミリーがあまりにも自分の気持ちを押し殺しているから…。だからお父さんの時いいたいことをいったらうまく行くんじゃないかって思って仲直りするようにいって、後押しはお母さんに任したの。」

エミリー「そうだったんだ。」

サファイア「うん。」

しばらく沈黙が流れエミリーはサファイアにいわれたことを噛み締めた。

エミリー「サファイア。あなたのお陰で私は元気になれる。勇気が出る。あなたがいなければお父さんともまだ喧嘩していたし、城から逃げ出していた。そんな貴方が言うんだもの。信じるわ。」

サファイア「ほんと?」

サファイアの顔は一気に明るくなる
エミリー「うん。でも、1つ質問に答えて。」

サファイア「?」

エミリー「どうして、私以外の人の前では姿を現さないの?二人のときは見せるのに、誰か近づいたりしたら消えて声だけになるよね?あれはどうして?」

サファイア「…。見せるわけには行かないの。本来なら貴女にだって見せてはいけない。でも怖がられたくなかったし信じてほしくて貴女には姿を見せた。私もあなたを信じてるから見せた。妖精は数が少ないの。いぜんはもっといたんだ。だけど減ったの人間ね戦争とかに巻き込まれたり、売るために捕まえられたりして…だから人間には見せてはいけない決まりになってる」

エミリー「じゃあなんで…」


サファイア「貴女は優しいし、そんなあなたがお父さんと喧嘩してるのをみていられなかったの。」


エミリー「でも私は人間よ?そんなに私は信用できたの?」

サファイア「うん。だってあなたは…」

サファイアはその時窓のそとをハットしたようにみた。
サファイア「ごめん。ちょっといかないと。帰ったら必ず話す。明日いいたいことは言うんだよ!?」

サファイアは慌てた様子で出ていった。
エミリー「ちょっまっ…いっちゃった」

エミリーはあきっぱなしの窓を見つめる

エミリー「戻ってくるよね…」

エミリーは自分に言い聞かせ眠りについた