なにが…なんだか…。

春樹…なんて言った?

どういう意味…?

立ちつくしているあたしの目に、
かいとの姿が写った。


さき?どうした?
あれ、春樹は?


…用事思い出したって…
帰っちゃった…。


え??うそ。
ずいぶん、急だなぁ。

じゃあ…延期する?と、
あたしを見下ろす。


まだ、頭が…春樹の言葉を忘れなくって。

うまく返事が出来ないあたしに、
かいとが言った。


春樹が帰って…そんなにショック?


え?と、かいとの顔を見ると…
あたしの顔をじっと見つめる。

ショックって…顔してるじゃん。


そうじゃないよ?
そうじゃないんだけど…。

なに?

ただ…ビックリして…。

ビックリ?

…かいとに説明しようがない。

あたしは、かいとが好きで…。
それを知った春樹が…応援してくれていて。

応援…してくれてたんだよね?

なんで…あんな、つらそうに…。
限界って…。どうして…。


俺には…言えないことなんだね?


かいとの声に、ハッとして見上げると、
少し…悲しそうな顔であたしを見ている。

…ごめん。かいと…。

ん。いいよ。
とりあえず、今日は…帰ろうか。
自転車は?

学校…。

そっか。じゃあ、一緒に戻るか。

まだ明るい日の下を、2人で並んで歩いた。

かいとも、ずっと黙ったままだった。