おそるおそる入ると…案外、空いていた。
まあ…まだ夕飯には早いしね。

キョロキョロと、店内を見回していると、
さき!こっち!と、春樹の声がする。

すでに、2人ともテーブル席に並んでいた。
向かい側に、座ると…。

俺たち、特盛な!
さきも、特盛かー?

え、そんなに食べないよー。
あたしは、普通でいいよ。

遠慮しなくていいのにー。
な?かいと。と、ニコニコしてる。

かいとも、なー?と、春樹に相槌を打つ。

いや、お会計はあたしでしょー?と、
言うと。

2人とも、あ、そっかー。と、しらじらしく
笑う。

もー。いいから、早く頼みなよー。

ワイワイ3人で話してるのが、ほんとに
楽しい。

牛丼!牛丼!と、子供のように待つ春樹を
あたしも、かいとも笑って見ていた。

すると、かいとが突然、
そう言えば、自転車パンクしたんだって?
と、あたしに聞いた。

え?ああ。そう。昨日ね。
帰ろうと思ったら、パンクしてて。
焦ったよー。
ちょうど春樹が来て、助けてもらったんだよ。

優しいじゃんー!春樹くんー。
と、かいとがからかう。

ほんと、昨日は後光がさして見えたわー。
と、一緒になってからかうと。

坊主頭だけに?と、春樹が変顔して。

また3人で大笑い。

運ばれてきた牛丼を食べ終わる間、
ずっと3人で笑っていた。

食べ終わって、春樹が。
まだまだ食えるけど、勘弁してやるか。
お会計よろしくぅ。と言い。
かいとも、ごちになりますぅ。と、笑い。

あたしは、はいはい。と、会計を済ました。

店を出て、じゃあねー。と、
バス停に向かおうとしたら。

後ろから、さきー!と、呼ぶ声がする。

え?と、振り返ると、
かいとがー、明日は、甘いもんおごって
くれるってよー!と、春樹が叫ぶ。

え!?と、驚くあたしに、

かいとが、笑って手を振る。

え!?え?と、まだ驚いてるあたしを
残して、2人で学校に戻っていった。

明日?ほんとに…?