中学に入学して間もない頃、俺は香帆と出会った。
その頃の彼女は、きらきらしてて目があった瞬間、この人が俺の運命の人なんだって今まで恋をしたことの無い俺に教えてくれた。

ある日の昼休憩、彼女は珍しく一人で小走りで物置として使われている第一学習室へと入っていった。いつも彼女の周りには誰か居るので何となく勘で嫌な予感がしたので覗き見してみた。すると、彼女の入っていった第一学習室の中には学年でも悪い意味で有名ないじめられっ子が一人立っていた。笹木波奈だ。
「ねぇ、あんたでしょ…。私の靴箱にゴキブリ入れたり、机の中の教科書焼却炉に突っ込んだりしたの!」
「えっ…?何の事?私じゃないわ!」
明らかに濡れ衣を着さされていて仕組まれているようだった。きっと、藤原紗香達だろう。彼女達はいじめっ子であり、人気者の香帆をかなり羨ましがっていたからだ。しかし、なかなか誤解が解けないのでそろそろ止めに入らないとヤバそうだ。
「ねぇ、分かってるんだからね!いい加減白状しなさい
、ただじゃおかないんだから。」
そう言って、波奈は近くにあった椅子を振り上げる。
「やめてっ」
(危ないっ!!!)
ガコンッ!
鈍い音がした。赤い液体が少し見える。
どうやら、反射的に香帆を助けてしまって居たようだ。
「高橋君⁉ね、ねぇ、大丈夫?しっかりして!」
「わ、私は悪くないから!あんたがいけないのよ、後で覚悟しときなさい‼」
香帆は俺に泣きながら謝ってくる一方、波奈は走って逃げて行った。
「蒼井さん…、大丈夫?」
「大丈夫に決まってるよ!私の為に…ありがと。先生呼んでくるね!」
そう言って香帆は先生と救急車を呼んでくれた。
これが、俺の大好きな彼女との出会いだった。