「さて、俺も帰りますか」 キーを探して車に差し込む。 うぬぼれでもいいけど、優梨子の中に俺がいるということが少しだけ嬉しい。誰よりも俺を呼んだのだから。 「慎太郎」 「お、なんだ。忘れ物か」 引き返してきた優梨子は、いい忘れたといって、駐車場から離れたところから少し声を張り上げる。 「慎太郎って、やっぱりやさしいよねぇ」 馬鹿野郎。 「あたりまえだっつーの」 それはお前だからだ、だなんて言えるはずもなく、俺は車に乗り込んだ。 《俺が優しいのはお前が、》 2018/5/23 了