「どうして浮気するのよ」



 まるで俺が浮気したみたいだが、あれだ。俺じゃない。断じて。

 ファミレスの時計を見ると、もう十時になる。俺を呼び出した優梨子は、遅い夕食を済ませて今度はデザートを頼んでいた。机の上には甘そうなもの。

 俺はポテトをかじりながら、ドリンクバーの何杯目かわからないお茶を飲む。



「騙して、こっちでもいいこと言ってたなんて」

「だから俺は怪しいっていったんだぞ」

「…だって、好きなんだもの。信じたいじゃない」



 お前の口から告げられる好きという言葉が、俺だったらいいのにと思う。


 どうして俺じゃないのだろう。
 俺なら、お前の腐れ男なんかよりも誠実に、大切にするのに。


 そこまで考えて、俺ってこんなにくさい男だったかと思う。
 恋、片思いは人を変えるって本当かもししれない。