Collapse mind



けれど、唇と唇がくっつく寸前で、それは止められた。


目の前にあるその瞳には、強く、鋭く尖った野生の動物のように、今にも食べられそうな危険な雰囲気が含まれている。まるで試すように、私の瞳をじっと見つめてきた。


私の視界は全てが春くんでいっぱいだ。至近距離に滲む睫が、光に照らされてきらきらと光っている。春くんは私の思考さえも攫って
、ただなすままになるしかなかった。


どれぐらいたっただろう。暫くして、そのまま唇は触れる事なく、ゆっくりと離れていく。


その瞬間、ドクドクと心臓が激しく叩いて、頭にまで伝わってきた。物音一つしない静寂な空間は、思わず吐いた息で破られた。それが合図のように、一気に顔に火が集まって、体が燃えるように熱くなった。


今のは何。異常じゃなくらい鼓動が速まる。もう、窒素してしまいそうだ。