身をよじって、春くんの腕から逃れようとした。でも、強く後ろに廻った腕が、それを阻止する。胸を強く押してもビクともしないそれに、初めて春くんが、男なんだと気付かされた。
ふわふわしてて可愛らしい雰囲気の春くんは、肌は白くて、一見か弱そうな少年に見える。でも、実際は運動神経抜群で、おまけに頭もいい。まさに、才色兼備(さいしょくけんび)な人だ。
そんな完璧な人なのだから、モテないはずがない。よく女の子に告白されているのも私は知っていた。私みたいな、地味で特に取り柄もない日陰のような存在に位置する自分とは、真逆だ。
そんな、私にとっては遥か遠い存在な人なのに、私たちは出会って、ずっと一緒にいた。
自分が一番信じられない。きっと春くんは、私じゃなくても、誰にでも優しいし誰にでも好かれるだろう。でも、いや、だからこそ、私は、春くんに猛烈に惹かれた。
素敵な人だ。いつも心が綺麗で、まるで抜けることのできない、春くんという存在の沼にはまってしまった。
いつも私の話を楽しそうに聞いてくれて、何も言わなくても、隣にいるだけで、安心できる。春くんになら、何でもはなせるし、言葉に表せられない位大切な人。
