「分かってるよ。いきなり言われても困るよね。だって、彩春は今まで俺の事、親友だと思ってたんだもんね」
「…っ」
「見てれば分かるよ。でも、もう我慢しない事にした。これからは俺の事、ちゃんと意識してね」
ニカッと私が大好きなその笑顔で、春くんは笑ってみせた。いつもはその笑顔に安心するのに、今は、ドクドクと、心臓の音がただただ大きくなっていくのを、感じる事しか出来なかった。
思わずその笑顔に目を逸らして、訳も分からぬまま口を開いた。
「…っ、む、無理だよ!そんな急に……っ、だって、春くんは私の大切な人で…っ!」
突然グイッと、強い力で腕を引かれた。
掌から感じるのは硬い筋肉の感触。視界を覆った先にある綺麗な鎖骨。すでにオーバーヒットを起こしている脳みそは、今何が起こっているのか、理解できる筈がなかった。
