他よりも仲の良い、気の合う男友達。なんて、簡単な言葉で片付けられる関係じゃない。性別の壁を越えた、心の底から信頼し合う最高の仲間、だった。私はそう信じてやまなかった。なのに、


「……う、嘘…」


頭の中が、ぐるぐると渦巻く。突然の事に、頭が付いていかない。つい口から零れた言葉に、春くんは何も反応を示さなかった。


何で、私が好きなんだろう。まず根本的な所から、全く分からない。私の事が好きとか、そんな仕草は一度も見た事がなかった。


「だって、言わないと一生気付いてくれないでしょ?」


まるで私の考えはお見通しだと言うように、頭に駆け巡った疑問を、さらりと解いてくれた。コテッと頭を傾げながら言うその仕草は、春くんの癖だった。

「い、今までそんな仕草全くなかったじゃんっ…!!」


「それは、彩春が鈍感だからだよ」


鈍感?私は鈍感じゃない。春くんが何かに落ち込んでる時だって、周りのみんなは全く気付かなかったのに、私はすぐに気付いた。些細な事でも、春くんの事だったら何でも気づける自信があった。だって、いつも側にいたから。