地に足がついている感覚がしない。意識を研ぎ澄ましてしっかりと地面に足をついていないと、今にも倒れてしまいそうだ。
春くんが不敵に、悪戯な笑みを浮かべるのを感じた。
「涙、止まったね?」
まるでガラリと人が変わったみたいに、私の知っている春くんはもういない。
「っ、春くんじゃ、ない」
ふわふわしていて、隣にいるだけで安心するあの雰囲気も、やさしい春くんも消えてしまった。全ては、春くんによって壊され、きっと、もう、元の私たちには戻れない。その言葉に意地悪く微笑んだ春くんは、ゆっくりと口を開く。
「おれは、おれだよ?」
私達の関係は、終わった。
