「好き」



ドキリと胸が、鼓動を叩いた。


今は、お互い好きな映画について盛り上がってる最中の筈。最近公開された映画についての感想を、お互い言い合ってた。


そんな話の流れから分かるように、今の''好き''は、もちろんその意味の''好き''じゃない。俺もその作品が好き、的な共感の意味で言ったんだと思う。


春くんとは本当に気が合って、一番私の事を理解してくれてる男友達。大切な親友。もちろん春くんだって、そう思ってくれている。


なのに、何故か妙に胸が騒がしい。


私の勘違いだって分かってる。いや、そうだと思いたい。


なのに、目の前で私をじっと見つめるハルくんの顔には、いつもの可愛らしい笑顔が無い。やめてほしい。そんな真剣な瞳で見つめられたら、誰だって勘違いする。