「おい。」
今日もまた黒瀬は声をかけてくる。
そして私は無視をしてしまう。
「お前最近なんなの?」
不機嫌なのは十分に伝わってくる黒瀬の声音。
「おい、こっち向けよ。」
しつこく話しかけてくる黒瀬にぎゅっと目を閉じる。
『おい』とか『お前』とか。どうして名前で呼んでくれないの?
私は名前を呼べるほどの女でもないってことなの?
どうしてあの子のことは名前で呼ぶのに、私はダメなの。
…こんなの嫉妬してるみたいじゃん。
「おい。」
ほらまた。
「っ、うるさい!おいとかお前とか、私にはちゃんも名前があるの!!」
バンっと机を叩き、黒瀬に向かって叫んでやった。
ついに私のモヤモヤが限界に達してしまい、爆発した。
ハッと気づいたときにはもう遅かった。
…しまった。黒瀬含めて、クラスメイト全員が驚いた顔をしている。
冷や汗を流していると丁度チャイムが鳴り、先生が入ってきて五限目の授業が始まった。
…良かった。助かった。



