名前で呼んでよ、黒瀬くん!【完】



女子の視線は怖すぎる…なんて思い怯えていると、



「黒瀬〜、あの子がお前に用があんだってさ〜!」



黒瀬と仲のいい山口くんが指差す方向を見ると、そこにいたのはお人形さんみたいに可愛い女の子。



うるうるとした大きな瞳で、黒瀬のことを見つめている。


リボンが黄色だから下級生かな。




「今行く。」



何故かチラッと私の方を見て、それだけ山口くんに伝え、その子のもとへ行く黒瀬。




…告白なのかな。



あんなのどう考えても告白だよね。




あんなに可愛い子に告白されたら、女嫌いな黒瀬だって付き合っちゃうよね。



モヤモヤとした黒い気持ちが心に広がり、違和感を覚える。


なんで私こんなに黒瀬のこと考えてるんだろう。今までなら一切気にならなかったのに。



『頭ん中俺のことでいっぱいになればいい』なんて黒瀬が言うからだ。



…黒瀬のせいだ。