それから数日。
黒瀬の様子は特に変わることなく通常だった。毎日小競り合いをして、喧嘩をしての繰り返し。
今日も隣を見れば、女の子に囲まれて不機嫌な黒瀬がいる。
…あの日の黒瀬はなんだったんだろう?
「っ、」
そんなことを思いながら黒瀬を見ていると不意に目が合ってしまい、咄嗟に逸らす。
「なに、お前俺に惚れてるの?」
頬杖をついて、馬鹿にしたように笑いながらいう黒瀬。
それによって周りにいた女の子の注目も私に集まる。
黒瀬のこの私をからかって楽しんでいるような顔が苦手だ。
「そ、そんなわけ、な」
「ないよなー。お前俺のこと大嫌いだもんな?」
そう笑顔で大きい声で言って、私から視線を逸らす黒瀬。
ドキリと嫌な音を立てる心に、黒瀬の周りにいた女の子たちの睨むような視線が刺さる。



