名前で呼んでよ、黒瀬くん!【完】



何それ。もうこの話は終わりなの?なんで暴言を吐かれたの?


チラッと黒瀬を見るとさっきとは打って変わって通常運転の黒瀬。


なに涼しい顔しちゃってんのよ。



沸々とわいてくる怒り、


「…もう意味分からない!あんたってほんと腹が立つ!!!」








「腹立てばいいじゃん。」



「へ?」


予想外の答えに、変な声の出る私。


目線を資料から外すことなく、仕事を進めながらいう黒瀬。


その横顔の表情は黒くてサラサラな髪が邪魔をして見えない。




「腹立ってイライラして、頭ん中俺のことでいっぱいになればいい。」



「っ、」







「お前は俺のことだけ考えてりゃいいんだよ。」






「…い、い意味分かんないっ、」



ドキドキと暴れ出す心臓に、黒瀬の言葉に理解が着いていかない頭。


夏のせいなのか、クーラーが効いているこの部屋でも額に汗がにじむ。