「なんでまたこっちに?」

俺はカズミに問い掛けた。

すると急にカズミの表情が曇る。

「…家出…しちゃった」

カズミのあまりに辛そうな表情に、俺は目を疑った。

いつも明るく元気で、笑顔を絶やさなかったカズミの初めて見る表情。

俺は今にも泣きそうなカズミを部屋に招いた。



「−…なんで家出?」

俺はカズミに紅茶を差し出しながら言う。


「あの家族…嫌い。」

カズミはそう言って急に服を脱ぎだした。


「…カズミ?」


俺はあらわになったカズミの姿に息を飲んだ。

普段は服で見えないが、背中、腹部、ふともも、腕……

体のあちこちに赤黒いアザが広がっていた。


「…これ…」

俺の脳裏に

ドメスティックバイオレンス の文字が浮かんだ。