俺は少し歩く。 声が遠ざかる。 『・・・アァー』 完全に聴こえなくなった。 振り向くと、山城が口元に手を当てているのが目に入った。 まだ良くなってねーじゃんかよ。 意外に山城って、強情なのか。 甘えれば良いのに… 俺は視えないから、声の主がどうなったかは分からない。 少しだけ、静流が羨ましいと思った。 この時、俺は、無い物ねだりの只のガキだった。 口にしなかっただけ、まだ良かったのだ。