なんとも楽な気持ちで家路についた。
俺はコンパクトな一軒家の扉を開けながら思った。
厳しいけど楽しいオカンがいて、優しいオトンがいて、俺の聴こえる《特性》の事も受け入れていて…
なんて恵まれているんだろう。
俺は甘えすぎてるかもしれない。
やっぱり、まだまだガキだと思う。
「ただいまー」
「おかえり、遅かったな」
鍵を開けて入ると、オトンがリビングのドアをあけて声をかけてくれた。
小さく呼吸を整える。
「…すぅ……オトン。もう子供扱いしないでくれる?クラスのみんなの前で撫でられたら嫌なんだけど」
心臓が凄い早さでなっているのが自分で分かった。
オトンは一瞬ビクッと動き、その後嬉しそうな笑顔をした。
「ごめん一葉。これから気を付ける」
今はこれが俺達の精一杯の歩み寄り。
でも。
このオトンの顔は忘れられないだろうな。
優しい優しい微笑みだった。
