「申し訳ありません‼︎」



久しぶりに訪れた静流の家の居間で、畳に額をくっ付けて居る俺。

「謝らなくても」

オーナーは静かに笑っている。

「……静流はまだ学生なんだ」

実は初めて静流のお父さんに会った。
そして、初会話が嫌味と言う洗礼を受けている。
イヤ、嫌味位なら優しいもんだろう。
殴られて当然の覚悟で伺っているのだから。

「あなたは黙っていなさい。父親らしい事をなにもしないで、こんな時だけ出てくるんじゃないわよ。ほら、さっさと仕事へ戻りなさいな」

オーナーも結構実子には厳しい人なんだと、緊張いっぱいの俺の頭の片隅をかすめた。

お父さんもオーナーにはかなわないらしく、本当に黙って部屋を出て行った。

そして、沈黙が流れた。

口火を切ったのは、オーナーだった。

「…静流。私は知っていたのよ。いつ話してくれるか待っていただけ」

優しい言葉が聞こえた。

「…ごめ」

謝る事すら静流は出来なくなっていた。
涙が止まらない様子をジッと俺は見ていた。