「花枝が言わないって…どう言うことだ‼︎」
義一が少女に向き、大きな声を出した。
「うるさい義一。そんな態度だと余計話しづらくなるだろうが」
俺の言葉に、ぐっと次の言葉を呑み込んだ義一。
「…俺には言えないのか、花枝」
淋しさの声が聞こえる。
「…義一様…私…」
堪えていた涙が溢れた。
静流が静かに少女に近き、ハンカチを渡す。
背中を摩って落ち着かせていた。
その様子を伺っていた義一は、ため息を付いてから俺に向きを変えて、話しはじめた。
「……一葉。俺も父と同じ運命だ」
「なにがだ?」
「最上を継ぐために…逆らえない」
「義一。順序立てて話せ」
「…ハッ………ご丁寧に、許嫁が用意されている。来月結納だそうだ」
義一の言い方は、全てを諦めていた。
