半身。然るに片羽。



カチャカチャ…



「一葉君もう慣れた?木下さん、一葉君はいかがかしら?」

洗い物をしていると、オーナーが入ってきた。

「一葉君は飲み込みが早くて良いですね。フロア片付けが終わると積極的に皿洗いもしてくれますし、言う事はないですよ。な、畑中(ハタナカ)」

無精髭が邪魔をして初見では年齢不詳だったが、まだ42歳と意外と若い事を静流から教えてもらった。

正社員は木下さんと、夜の顔のバーテンダーの畑中さん、そして俺だけ。
あとはバイトが数名。



両親との突然の別れ。
2月だったため、ろくな求人も残っておらず…
お決まりの、新聞配達や工事場や警備やらをして繋ぎながら就職先を探していたら、静流のおばあさんに拾われたのだ。

なにが安心かと言うと、瑞葉を1人にしないですむ事だった。

夜は、俺は仕込みや荷物運び程度しか出来ないが、それでも帰りは遅くなる。
家に帰ると、静流かおばあさんがいてくれて、寝かし付けてくれている。
たまに、オトンの両親も来てくれるが、近くはないので中々会いには来られない。
静流達には、お世話になりっぱなしだ。