静流が廊下を覗いた。

「いた」

そしてもう1人を引きずるように病室に入れた。

「…あの」

なにか言いたそうにモジモジと黒岩はしている。

「バカだねー。上手くいったんなら早く報告しに来てくれない?僕は動けないんだからさ」

そう言うと2人で頭を下げた。

「幸せそうでなによりだよ」

黒岩も悩む事なんてなかったじゃん。

こいつもお前を好きでいてくれてたじゃん。

多分これから2人は、男女の恋愛よりも必要以上に多くの壁にぶちあたるだろう。

「約束してよ、黒岩」

俺が言うと

「なにを?」

黒岩は驚いた顔でこっちを見た。

「出来るだけ長く幸せでいて欲しいだけだよ。だから、好きな人を信じて欲しい。簡単に手離さないで欲しい。って、こと」

俺の言葉に、黒岩は頷き。
矢崎は泣き出した。