半身。然るに片羽。

項垂れてる静流を見つめ、扉近くで留まった吉岡を見つめた。

俺は黙って、また静流に目を向けた。

多分あのお坊ちゃま君は本当なんだろうけど…



人混みの奥。
隠れて俺を凝視してた人に…
刺すように俺を睨んでた人…
おじさんと少年。
無の空気に冷たい空気…
哀しみと憎しみの空気…



『あのさー、合尾。相川も朝聞いたんだよ。おばあさんもさ。2人共、困ってたんだよ?ずっと断ってたんだよ?奴はさ、あのボンボンの父親にすげー口聞いてたんだよ。機嫌損ねると大変だったみたいで、もうその父親が可哀想になる位2人に頼み込んでたんだ。相川達はそれでも断ってたよ。相川達はすげー嫌がってたよ。マジで。でも奴はさー、真琴を盾にとってさー、強引に入って来ちゃったんだ…ごめんな…それと…見るだけでもと頭を下げた方も…さ…』

いつものヘラヘラした吉岡じゃない。
山城を守りたい、ただの男が話してる。

霊だけど。