正しい『玉の輿』の乗り方


そして、もう一つ分かったことがある。
私と樹さんが初めから両想いだったことだ。
どうやら私は、思っていた以上に樹さんから愛されていたようだ。

『俺は菜子の為なら何だってするんだよ』

小説の中の樹さんは、そんなセリフを口にしながら私を傷つけようとした人達を容赦なく追い込んでいった。恐らく彩乃さんや私を襲った男達、そして白崎社長に対しても、彼が裏で手を回したのは間違いなさそうだ。

そして、最後は空港でのプロポーズ。
樹さんが私に永遠の愛を誓ってハッピーエンドとなる訳だけど、自分のことなのにハラハラしてしまった。

「どうだった?」

「そうだね。……続編も読んでみたくなったかも」

「じゃあ、今度本人にそう言ってあげなよ」

「うん。今度は私達もパパとママになってたりして」

そんな言葉を返すと、樹さんの目が大きく開いた。

「そっか、赤ちゃんな……。よし、分かった。結婚式終わったらすぐに作ろうな」

樹さんはそう言って私をギュッと抱きしめた。
 
『パパとママ』のくだりは、そこまで深い意味はなかったのだけど、樹さんがあまりにも嬉しそうに言うものだから、私も頑張ってみたくなった。

「今度は『正しい赤ちゃんの作り方』っていうタイトルはどう?」

「うーん。いまいちセンスねえな」

「じゃあ、『正しい妊活の始め方』は?」

「微妙……。つうか、小説の方は夕夏ちゃんに任せて、菜子はひたすら俺に抱かれてればいいんじゃないか?」

「なるほどね。じゃあ、樹さん頑張って下さい」

「ああ。たっぷり仕込んでやる」

なんて、ベッドの上でクスクス笑いながら、私達は幸せな未来を想像したのだった。


【end】