『ごめん、ごめん。お楽しみの最中だったんだね』
「ち、違うから! そんなんじゃないから」
『フフフ。じゃあ、用件だけ言うね。実は私ね、ストロベリーカフェっていう携帯小説のサイトに、自分の作品を投稿してみたの。【正しい玉の輿の乗り方】っていうタイトルなんだけど、良かったら読んでみてっていうご報告。……ではでは、ごゆっくり~』
夕夏はそう言うと、一方的に電話を切った。
そっか。
なるほどね。
ついに作家活動を始めた訳ね。
それはとっても喜ばしいことなのだけど、何だかタイトル名が引っかかる。
【正しい玉の輿の乗り方】って……。
ボンヤリと考えていたら、樹さんが顔を覗き込んできた。
「電話、終わった?」
「あ~うん。なんかね、夕夏が携帯小説を書いたらしくって」
「これのことか?」
樹さんが自分のスマホを差し出してそう言った。
スマホの画面には夕夏が言っていた【正しい玉の輿の乗り方】というタイトルの携帯小説がのっていた。
「そうそう、これこれ!……って、ん? 何で樹さんが夕夏の小説のこと知ってるの!?」
ふと疑問に思い口にした私に、樹さんが信じ難い真実を告げる。
「ああ。実は夕夏ちゃんから俺と菜子の話を小説に書きたいって相談されてさ、彼女に少し協力したから」
「ええっ!? じゃあ、この小説って私達のことが書かれてるの!?」
「まあ、そういうことになるな」
コクリと頷いた樹さんを見て私は言葉を失った。
何ということだろう。
タイトルを聞いた時にちょっと嫌な予感はしたけれど、まさかそんなことになっていたなんて。



