「あ~なんか幸せだなあ。来て良かった」
ベッドに仰向けになりながら、私はしみじみと呟いた。
「そうか。なら良かった」
樹さんは口もとをふっと緩め、私にゆっくりと顔を寄せた。私はそっと目を閉じてキスを待つ。
『ブーブー ブーブー』
ちょうどそのタイミングで樹さんのスマホが鳴った。
樹さんはため息をつきながら、ベッドサイトに置かれたスマホへと手を伸ばした。
「何だよ、東吾。いいとこなのに邪魔すんなよ」
いきなりそんな言葉で電話に出た樹さん。
相手は中谷さんのようだけど、こんな真っ昼間からイチャついていたことがバレてしまい恥ずかしくなる。
電話は仕事の打ち合わせのようで、樹さんは5分ほど話して通話を切った。
「ったく。あいつも彼女とハワイにいる時くらい仕事から離れればいいのにな」
ブツブツと文句を言いながら、樹さんが再び私に覆い被さった。
すると、
『プルルル。プルルル』
今度は私の携帯。
夕夏からだった。
「出ていいよ。俺のことは気にしなくていいから」
なんて、言ったくせに。
電話に出ると樹さんは私の首筋に吸い付いてきた。
「もしもし、菜子? いま大丈夫?」
「あ、うん。だいじょう……ヒャ!」
今度は耳を舐められた。
「約束が違う。俺のことは気にするなって言ったくせに」
「だから俺のことは気にしなければいいんじゃない?」
そんな屁理屈を言う樹さんに私もついムキになる。
「ムリです! 全然電話に集中できない」
すると、電話の向こうから夕夏の笑い声が聞こえてきた。



