その後、樹さんとは仕事以外で関わることもなく、慌ただしく日々が過ぎていった。

そして、気づけば木曜日。
樹さんが誘ってくれた“パーティー”の日を迎えた。

仕事を終えたあと、私は急いで髪をアップにし、パーティードレスに着替えた。

『とにかく品のあるデザインを』

樹さんはバイヤーの人にそんなリクエストをしていたそうで、私が勧められたのはピンクベージュのサテンのワンピだった。

胸元が少しシースルーになっているけれど、気品があってとても清楚に見えるドレスだ。

これならばきっと樹さんも気に入ってくれるはず。
そんな期待を胸に、樹さんの待つ会社の駐車場へと降りたのだけど。

ドレスを見た樹さんの反応は全く違うものだった。

「何だよ、そのドレス。胸元が透けてるじゃんか」

助手席に乗りこんだ瞬間、樹さんはため息をつきながらそんな感想を口にした。

「いや、でも……全体的には凄く上品なドレスだと思うんですけど」

ショックを受けながらそう言うと、更に大きなため息を返された。

「透けてる時点でエロいだろ? こんなエロいドレス着て、変な男が寄ってきたらどうするんだよ」

「…………」