「伊織ちゃんが本当に好きなんだね」


「……ッ」


そう言って、優しく笑う彼の笑顔に
慰められ、胸がキュッとなった。


それと同時に、2人には申し訳なくて、
余計顔が上がらなくて。


ずっとアスファルトの地面を眺めていれば伊月先輩はそこへしゃがみ、私の目線に合わせ応えた。


「俺が軽率だったね、ごめんな?」


「伊月先輩…」


それだけ言うと、彼はすぐに立ち上がり、
私達に背を向け歩いた。


「自分の立場をわきまえる」



そう、一言言いながら───。