多分、私……、


理沙たちと同じ場所に近づく事さえ
出来ないんだろうな。


築き上げてきた信頼関係なんて、
追いかけて作り上げるものじゃない。


そんなのは、いつしか欠けて、
崩れ落ちてしまう。


偽りだとは思っていなくても、
多分それは偽りで。


きっと彼らだから、何かを共有できて、
私だから、それができないんだ。


「……」


〝じゃあお疲れ、伊織ちゃん〟


〝今日のメインは雨寺なんだから、
少しくらい甘えときな〟




〝伊織には、もっと広い世界を
見て欲しいと思ってるよ、私は〟




……たまに振り返えってくれる優しさを
見せるものだから、勘違いしていた。


「……私、」


なんとも自分は浅はかだった。


もっと、もっと私はみんなと…いや、
彼らと仲良くできると思ってた。


正確に言えば、何かを共有できる、
そんな仲。


一応、とても優しく丁寧に扱っては
くれているのだけど……、


でも全然違う。


……まあ、簡単に言えば───、



それとこれとは別という事だ。



「私も、先行きますね」


そう言って、私はニコリと微笑めば、理沙は罪悪感を帯びた表情で何か言いかけていたが、結局それを飲み込むと、悲しそうな顔をした。


そんな理沙に、私は困ったように
笑い、応えた。


「大丈夫だよ」


───と。


そうして、私は彼らに背を向け、
先輩方に混ざり、3人と遠ざかる。



私は、彼らの境界線を、
立ち入り禁止された。