恋が枯れるまえに、約束を

「だめだぞー楓、女の子には
優しくしないと」


佐藤先輩も仲裁…と言うより楽しそうに
参戦すると、中居くんの肩にもたれそう
応えるのだ。


「女の子に見えますかねえ?」


「なんだと楓“ちゃん”!」


「ああ?」


一体いつまで続くのだろうかと、私はため息を
こぼせば、ふと伊月先輩と目が合った。


ピクッ


少し肩に力が入り、一瞬強張らせると、
伊月先輩は苦笑いした。


「……」


私も私で平然とすればいいものの、
彼も彼でその表情が気に入らなかった。


気にしているのは君だけ、
そう言われている気がしたから。


いや、そう言われているんだ。


それが分かればもう……ね、そんな素振り、
勘ぐられたくなんかないじゃないか。


だから私は自然に、平然として
伊月先輩に話しかけた。



「今日は来てくれてよかったです」
───…なんてね。