「…誰といたの?」




───と。


誰…?誰って何?


どうしてそんなに不安そうなの?


「1人でいたよ、倉庫裏で1人」


「…そ、そっか」


それを言えば、先ほどとは打って変わり、
焦り慌てる姿はなく、それどころかホッと
した様子に、私は応えた。


「誰って誰…?」


私はそれを聞けば、理沙は再び肩をピクリとさせるものだから、タブーな質問なのだと分かった。


それでも知りたいのは確かで。


そう思い、理沙を見つめるも、


「ごめん、何でもないから…」


「でも、」


「今日は先帰ってて」


と、はぐらかされてしまった。


腑に落ちない、
全くもって納得いかない。


しかし、これ以上は踏み混むなと
言われた気がした。



「うん…わかった。また明日」


私はそう言えば、理沙もまた、伊月先輩の
ように、困ったように笑うのだった。


──……っ



そうだよ、あの時から漂わせて
いたはずじゃないか。


〝ごめんな〟


あの時、きっと言われたはずだった、
釘をさされていたはずだったんだ。



──自分たちの境界線を──