──そして、私たちは高校受験をなんなく
合格すると、同じ私立高校に通った。
元々、通えればどこでもよかった私に理沙は別荘から近い高校を私に勧めてくれ、そのまま付いてきたのだ。
高校生活初日目は、
意外と素直に楽しみだった。
生暖かい風になびいて凛と散る桜、パラリと可憐に落ちゆくそれはまるでささやかな祝福のようにも感じた。
しかし、好奇心が募るばかりかと思いきや、
急に冷えていくのが分かった。
「あー、うちらクラス離れちゃったね、
伊織(いおり)」
「いやだあ、高校生活終わった…」
「何言ってんのもう、まだ初日じゃん」
後半になって、ずっと理沙に引っ付いてばかりの私は、理沙とクラスが離れて、転校した頃を思い出した。
「…友達出来るかな?」
「出来ないって思ってる内は
出来ないんじゃない?」
「私理沙のそういうズバッとした所たまに傷」
「あはは」
せっかく引きこもりも卒業して、
高校生にもなれたんだし。
少しは変われればいいんだけど。
そして、
そんな気持ちを抱きながら、気づけば
1ヶ月が経った────…
