気づけば中・高の単元はほぼと言って
完璧に叩き込んだ。


「雨寺(あまでら)は、欠席日数的に単位は低いけど、それ意外に問題はないから、幾つか高校での当てがあります。」


担任から告げられた言葉は、
予想通りのものだった。


それに対して不満なんてなかったし、
むしろ居場所があるなら幸いで。


高校に通えれば、どこでも
よかったのかもしれない。





9月になると、休み時間にも
勉強をしている人が増えた。


みんな、受験に向けて頑張ってる。


そんな頃私に声をかけてくれたのが、
同じクラスの理沙(りさ)だった。


「ね、雨寺さんはもう高校どこ受けるか
決めた?」


「ぇ…と、ううん、決めてないよ」


「ふーん、それにしては何だか
余裕そうだね?」


「そんな事なか…ないよ」


初めは「よく声をかけてくれる子」としてしか認識は無かったけど、気づけばいつも一緒にいる仲になった。


次第に猫をかぶるにも忘れ、心の底から
理沙といるのが心地よかった。


天真爛漫で、でもたまにお姉さんみたいな
存在の理沙が、私の初めての友達だった。