歳は今より幼い9の頃、太陽の光が海をてらてらと照らし、ゆったりと潮水が流れるそんな自然に囲まれた福岡は、私の生まれ故郷だった。


電車のホームから一面、綺麗な群青色の空と海が見えて、その先を行くと公園もあり、私はよくそこで1人遊んでいた。


この頃はまだ、お父さんがいて、
おばさん達に引き取られる前だった。


お父さんはお母さんが亡くなってからめっきり笑う事も減り、細々と痩せていく一方で、次々と重なる仕事の量ばかり増え、それに没頭するお父さんに、私は甘える事ができなかった。


そんな私にお父さんは「もっと甘えてもええんよ」と、頭を撫でてくれるけど、私はその優しさだけで十分だった。


物欲がないとも言えばそうかもしれないけど、ましてやその頃の幼い私は、ただただ時間に身を任せ、のらりくらりをしていればそれでよかったのだ。


「何してるの?」



君と出会う、その時までは────。